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 平成 7年版 犯罪白書 第4編/第5章/第4節/3 

3 まとめ

 調査・分析の結果から各事件の実態及び科刑状況の特徴を見ると,あへん事件,大麻事件及び麻薬事件においては,[1]いずれも20歳代の者が過半数を占めていること,[2]あへん事件及び大麻事件では,職業を有する者が60%台から70%台を占めていること,[3]あへん事件ではそのほとんどを外国籍の者が占め,麻薬事件も,近年,外国籍の者の占める比率が過半数となっていることなどが指摘できる。
 これらからすると,あへん事件,大麻事件及び麻薬事件については,日常的には普通の生活をしている青年層を中心とした一般人の間にこれら薬物が浸透しているのではないかとうかがえ,これら若年層の再犯防止等が,今後のこの種事犯への対応の際の一視点となり得よう。
 また,近時,外国人犯罪の急増が我が国の刑事司法に様々な問題を投げ掛けているが,この傾向は薬物犯罪の分野でも例外ではなく,捜査・公判・矯正等の場面で,通訳人の確保その他の問題につき一層の配慮が必要となるものと思われる。
 次に,覚せい剤事件においては,[1]同種前科を有する者が60%を超え,また,暴力団と関係を有する者も,近年やや低下する傾向にあるものの,なお20%台を示し,いずれも他の薬物犯罪と比べて比率が高いこと,[2]非営利事犯の実刑率が最近低下傾向にある反面,営利事犯における罰金併科率がかなり高率であり,罰金額も次第に高くなる傾向にあることなどが指摘でき,覚せい剤事犯への対応においては,再犯の防止や暴力団からの離脱促進といった観点が相変わらず重要であろうし,また,薬物犯罪に対する経済的側面からの抑制方策の視点も必要であろう。