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警察庁生活安全局の資料によると,薬物犯罪のなかでも覚せい剤事犯は,密売によって得られる利益がばく大であるため,暴力団が深く介入しており,毎年検挙者の4割以上が暴力団勢力で占められている。覚せい剤の流通ルートに暴力団が深く関与していると認められるところであり,その密売により得た暴利が暴力団の資金源となっていることが,濫用拡大の大きな要因ともなっている。
IV-14図は,昭和51年から平成6年までの薬物事犯における暴力団勢力検挙人員の比率の推移を見たものである。 覚せい剤事犯における暴力団勢力検挙人員の比率は,昭和55年まではおおむね50%を超えており,その後は減少傾向にあったが,平成6年には43.2%を占め,前年と比べ1.2ポイント上昇している。 麻薬事犯では,同比率は,昭和52年以降増減しながら推移し,平成6年には13.9%を占めており,覚せい剤事犯ほど高くはない。 IV-14図 薬物事犯における暴力団勢力検挙人員の比率の推移(昭和51年〜平成6年) あへん事犯では,検挙者がおらず,同比率の該当がない年も多いが,平成6年の同比率は,0.9%である。大麻事犯では,同比率は,平成元年に27.1%とピークに達した後,いくぶん減少気味ではあるものの,24%から27%の間を推移していたが,6年には21.0%と減少している。 なお,平成6年における交通関係業過,道交違反等交通犯罪を除く全犯罪で検挙された暴力団勢力3万3,436人のうち,覚せい剤事犯で検挙された暴力団勢力は18.9%を占めている。 IV-3表は,暴力団勢力の関与度の最も高い覚せい剤事犯について,最近3年間の態様別検挙人員における暴力団勢力の比率を見たものである。 覚せい剤事犯検挙人員に占める暴力団勢力の比率は,ここ3年間42%から44%であり,一貫して高い水準にある。同比率を態様別に見ると,各年とも譲渡しが最も高く,50%を超えている。次いで,所持,使用,譲受けの順となっており,3年間を通して,この順位に変動はない。 IV-3表 覚せい剤事犯の態様別検挙人員における暴力団勢力の比率(平成4年〜6年) |