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 平成 7年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/1 

第3節 検察及び裁判

1 検察庁における外国人被疑事件の受理処理状況等

(1) 外国人被疑事件の受理
 III-28図は,最近10年間の検察庁における外国人被疑事件の新規受理人員(交通関係業過及び道交違反を除く。以下,本節において同じ。)の推移を見たものである。受理人員の総数は,平成2年を底に,以後増加傾向にあり,その傾向は特別法犯において顕著となっている。
 平成6年における外国人被疑事件の新規受理人員は,前年より2,486人(15.8%)増加して,1万8,187人となっており,そのうち,来日外国人(本節では,検察統計年報における定義により,我が国にいる外国人のうち,永住者・特別永住者,在日米軍関係者及び在留資格不明の者以外の者をいう。)被疑事件の新規受理人員は1万2,879人で,検察庁新規受理人員総数の3.8%,外国人被疑事件新規受理人員の70.8%を占めている。また,来日外国人被疑事件新規受理人員のうち,刑法犯は3,519人(27.3%),特別法犯は9,360人(72.7%)となっている。

III-28図 外国人事件の検察庁新規受理人員の推移(昭和60年〜平成6年)

 平成6年における来日外国人被疑事件の罪名別新規受理人員を見ると,入管法違反が6,878人(53.4%)と最も多く,以下,窃盗1,964人(15.2%),覚せい剤取締法違反501人(3.9%),売春防止法違反373人(2.9%)等の順となっている。
(2) 外国人被疑事件の処理
 III-29図は,最近10年間の検察庁における外国人被疑事件の終局処理人員(交通関係業過及び道交違反を除く。以下,本節において同じ。)の推移を見たものである。平成6年における外国人被疑事件の終局処理人員は,前年より2,459人(15.6%)増加して,1万8,226人となっており,そのうち,来日外国人被疑事件の終局処理人員は1万2,868人で,検察庁終局処理人員総数の3.8%,外国人被疑事件終局処理人員の70.6%を占めている。
 平成6年における検察庁の来日外国人被疑事件の終局処理人員を見ると,来日外国人被疑事件の起訴率は61.9%,起訴猶予率は35.8%となっている。さらに,刑法犯(交通関係業過を除く。以下,本節において同じ。)及び特別法犯(道交違反を除く。以下,本節において同じ。)の別に起訴率及び起訴猶予率を見ると,刑法犯では起訴率58.7%,起訴猶予率38.6%,特別法犯では起訴率63.0%,起訴猶予率34.9%となっている。

III-29図 外国人事件の検察庁終局処理人員の推移(昭和60年〜平成6年)

 これに対し,来日外国人被疑事件を含む,検察庁で処理された全事件(交通関係業過及び道交違反を除く。)の起訴率は61.0%,起訴猶予率は33.4%で,刑法犯の起訴率が55.0%,起訴猶予率が38.3%,特別法犯の起訴率が70.7%,起訴猶予率が25.8%となっている。来日外国人被疑事件については,検察庁で処理された全事件と比べて,刑法犯においては,起訴率及び起訴猶予率共に大きな差はないが,特別法犯においては,起訴率は低く,起訴猶予率は高くなっている(検察統計年報による。)。