第3章 精神障害者の犯罪
第1節 概 説
1 精神保健法による取扱い 平成7年5月19日,精神保健法の一部を改正する法律が公布され,精神保健法は,名称も,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」と改められたが(一部を除き7月1日施行),この白書は,6年を中心とした犯罪傾向等について記述するものであるから,本章では,精神保健法に基づいた記述とする。 精神保健法は,「精神障害者とは,精神分裂病,中毒性精神病,精神薄弱,及び精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。」(3条)と定義している。 同法によれば,都道府県知事は,精神障害者又はその疑いのある者について,一般人による申請,警察官・検察官・保護観察所の長・矯正施設の長による通報,精神病院の管理者による届出を受けた場合等で必要と認めるときには,指定医の診察を求める。さらに,都道府県知事は,その者が精神障害者であり,かつ,入院させなければ自傷他害のおそれがあると認めることにつき,2人以上の指定医の診察の結果が一致したときは,その者を国若しくは都単府県の設置した精神病院又は指定病院に入院させることができる(通例「措置入院」と呼んでいる。)。
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