少年院においては,不良交友や暴力組織に関係する少年の問題性に焦点を当て,これらの少年を集団に編成し,特別の指導を実施している。この指導は,少年の個別的問題性に着目しつつ,視聴覚教材等を活用して,講話,カウンセリング,ロールプレイング等を行うことにより,少年の反社会的な考え方,行動等を是正させ,暴力組織等から離脱させることを目的として実施している。
III-21図 少年院新収容者の暴力組織関係等構成比(平成6年)
III-13表 保護観察種類別新規受理人員に占める暴力組織関係者の比率(平成6年)
行刑施設においては,暴力団関係受刑者に対し,保安及び警備を厳重にし,勤労意欲を喚起し,勤労の習慣を身に付けさせるほか,暴力団からの離脱指導その他生活指導を強化するなど効果的な処遇の実現に努力している。また,「処遇類型別指導」として,特に暴力組織加入者を対象にして,集中的な離脱指導をしている施設がある。
矯正施設では,警察機関に対し,暴力団関係被収容者の暴力団からの離脱指導等のため,必要な情報の提供を求めると同時に,警察機関の協力により,暴力団関係被収容者の離脱意思を暴力団組長等に伝達し,出所時の出迎え等暴力団関係被収容者の離脱を妨げる行為をしないよう暴力団に警告するなど,離脱を助けるために必要な措置を講じている。また,離脱の意思を有する暴力団関係被収容者の出所後の就職等を助けるため,企業の採用面接が施設内で行われることがある。
保護観察においては,保護観察対象者をシンナー等濫用対象者,覚せい剤事犯対象者,暴力組織関係対象者,家庭内暴力対象者,精神障害等対象者など11の類型に分けて,「類型別処遇」を行っているが,暴力組織関係対象者に対しては,[1]警察等関係機関の協力を得るなどして,生活状況,特に暴力組織との具体的な関係,同組織の動向等の実態把握に努め,[2]交遊関係の調整,転居等による環境の改善を図るなどして,本人に対し,組織からの離脱を働きかけ,[3]組織加入の動機,その背景,組織における本人の地位,家庭環境,離脱の難易等を踏まえ,警察等関係機関の協力を求めるなどして,本人を離脱させるよう組織に働きかけ,[4]地道な職業への就労指導を行う等の処遇指針に従い,社会復帰の働きかけを行っている。
なお,暴力団対策法施行後に指定された暴力追放運動推進センターの暴力追放相談委員として保護司が委嘱されている例が少なくない。
矯正施設及び保護観察所のいずれにおいても,暴力団から離脱する意思のある者に対し,補導等の援護の措置を講ずる目的に沿って,相互に協力しつつ,公共職業安定所,警察機関及び暴力追放運動推進センダー等と緊密に連絡を取り合い,暴力団情報の交換に努め,離脱の援助,転職指導及び就労先の確保を進めている。