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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第8章/第3節/1 

1 密貿易事犯の動向

 (1)関税法違反及び外為法違反事件
 警察庁の統計により,関税法違反及び外為法違反の最近10年間における送致件数を見ると,IV-48図のとおりである。平成5年の数値は,関税法違反が44件,外為法違反が26件となっている。

IV-48図 密貿易事犯の送致件数の推移

 IV-32表は,最近5年間の関税法違反及び外為法違反の送致状況を違反態様別に見たものである。
 なお,平成5年における外為法違反の「その他」の内訳は,無許可資本取引等(21ないし24条)が17件・11人,無許可外国為替業務等(10ないし14条)が1件・2人,無許可支払等(16条)が1件・1人であった。

IV-32表 違反態様別密貿易事犯の送致件数及び人員

 最近5年間における関税法違反の輸出及び輸入に係る違反対象物資の価格は,IV-33表のとおりである。
 警察庁の統計により,これを品目別に見ると,平成5年については,輸出の場合,貴金属類が3億3,000万円で全体の99.5%を占め,輸入の場合,大麻が約25億9,400万円で全体の67.4%を占め最も多く,次いで,麻薬が約11億4,000万円,食料品が約5,200万円,銃器類が約2,300万円,あへんが約1,700万円などとなっており,薬物関係(麻薬,向精神薬,あへん,大麻,覚せい剤)が全体の97.6%を占めている。

IV-33表 密貿易事犯の違反対象物資価格

 なお,平成元年の輸出では,大麻が約27億円余りで全体の81.5%を占め,2年の輸入では,覚せい剤が約643億円余りで同じく97.7%を占めている。
 (2)薬物及び銃砲の密輸出入事件
 覚せい剤,麻薬等の薬物取引が暴力団等の資金源となり,また,けん銃等の銃砲を使用した殺傷事件が多発することなどから,その厳正な取締りが要請されているが,これらの薬物,銃砲は,その大部分が外国で生産・製造されているため,不正な手段を講ずるなどして密輸入する事犯が跡を絶たない。このような密輸事犯については,各種薬物や銃砲を規制する各取締法規における輸入禁止規定等に違反するとともに,輸入禁制品であったり,正規の輸出入許可が得られないことなどから関税法や外為法にも違反し,それぞれの法令の罰則の対象となる。警察庁の統計によると,平成5年の各薬物取締法規の密輸出入に係る事犯の送致人員は,麻薬取締法違反が64人,あへん法違反が18人,大麻取締法違反が91人,覚せい剤取締法違反が44人となっている。
 なお,税関が摘発,関与した薬物密輸事犯の押収量は,IV-34表のとおりである。最近の傾向としては,手口として,国際郵便物(特にEMS郵便物)を利用する事犯が増加していること,仕出地として,従来摘発実績のなかった東欧諸国が見られること,日本人の吸引習慣が極めて少ないと見られていたあへんの摘発が増加していることなどが注目される。

IV-34表 覚せい剤・麻薬等の密輸件数及び押収量

 IV-35表は,銃刀法違反事件のうち,密輸入事犯に該当する送致人員及び押収物件数を見たものである。単純密輸入の押収したけん銃はすべて真正けん銃であり,営利密輸入の押収したけん銃も,そのほとんどが真正けん銃であった。

IV-35表 けん銃等密輸入事犯の送致人員及び押収物件数