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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第5章/第3節/2 

2 F級受刑者の意識

 意識調査は,F級受刑者に,22問の質問について,それぞれ「はい」又は「いいえ」のいずれかを選んで答えさせる方法で行った。質問項目は,[1]本件犯罪に関する事項,[2]受刑生活に関する事項及び[3]出所後の生活に関する事項に大別することができる。次の文中の比率は,無回答者を除いて,回答者のうち「はい」又は「いいえ」と答えた者の比率であり,質問項目ごとに無回答者数が異なるので,各問の回答者数は必ずしも同一ではない。
 (1)本件犯罪に関する事項
 IV-35図は,質問項目のうち本件犯罪に関する事項について,「はい」と答えた者の比率を示すものである。

IV-35図 本件犯罪に対する意識

 (2)受刑生活に関する事項
 「刑務所の生活に慣れましたか」との問いに,「いいえ」と答えた者は,平成2年が116人(55.2%),5年が130人(41.8%)である。この否定回答者の刑務所における就業期間を見ると,短い者ばかりでなく3年を超える者も2年は15人(12.9%),5年は17人(13.1%)いる。
 「担当職員の指示が分かりますか」との問いに「はい」と回答した者は,平成2年が88人(42.5%),5年が228人(75.5%)であり,33.0ポイントも上昇していることは,意思疎通のための種々の努力の成果であろうが,しかしなお約4分の1の受刑者が,受刑生活上最も肝要な担当職員の指示が分からないと答えていることは注目される。
 「作業が自分のためになると思いますか」に対して,「いいえ」と答えた者は,平成2年は74人(34.7%),5年は72人(22.8%)であり,これらの者の調査時年齢を見ると,最も多いのは,2年は「25〜29歳」の24人(32.4%),5年は「30〜34歳」の26人(36.1%)である。
 「家族のことで心配なこと」がある者は,2年は210人(95.5%),5年は275人(85.4%)であり,10.1ポイント低下したとはいえ,大部分の者が異国で収容されて,家族のことを案じていることが分かる。
 「いらいらすることが,よくありますか」と問われ,「はい」と答えた者は,2年が149人(69.6%),5年が167人(54.6%)であり,15.0ポイント低下してはいるものの,過半数の者が肯定回答をしていることから,心情安定のためのきめ細かな配慮が更に必要であるといえよう。
 (3)出所後の生活に関する事項
 質問項目のうち出所後の生活に関する事項について,「はい」と答えた者の比率を示すものがIV-36図である。

IV-36図 出所後の生活に対する意識