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1 外国人の入国・在留の動向及びその背景 建国以来多数の移民を受け入れてきた歴史をもつアメリカであるが,19世紀後半から移民規制政策を採り始め,第二次世界大戦後は,従来からの国籍,人種等を理由とする移民制限をなくす代わりに,年間移民受入枠を設けるようになった。1970年代に入り,メキシコ等からの不法入国者が急増したため,1986年の移民修正管理法(Immigratio Reformand Control Act)により,外国人の不法就労を助長した雇用者を処罰する制度が導入され,その後も,上陸審査を強化するなどの法改正がなされたが,その一方で,一定要件の下に不法滞在者の合法化が図られ,また,移民の受入枠を拡大するなどの法改正も行われた。
アメリカの国籍法令(合衆国法典第8編1,401条)は,出生による国籍取得につき,原則として生地主義を採っている。 IV-46表 主な州別に見たアメリカ人・外国人別の人口 IV-46表は,1990年におけるアメリカの全体及び各州別の人口を,総人口,出生時からのアメリカ人,帰化によりアメリカ国籍を取得した者,外国人に分けて見たものである。アメリカ全体では,適法に在留している外国人は約1,177万人で,この在留外国人の総人口に対する比率は4.7%である。連邦商務省国勢調査局の資料によって,同年における在留外国人を国籍別に見ると,メキシコが圧倒的に多く,約333万人で外国人の28.3%を占め,次いで,フィリピン(約42万人,3.6%),エル・サルヴァドル(約39万人,3.3%),キューバ(約36万人,3.1%)の順となっている。 なお,同局の統計によって,1990年4月1日現在の人口の人種別内訳を見ると,総人口約2億4,871万人中,白人が約1億9,969万人(80.3%)を占め,次いで,黒人が約2,999万人(12.1%),アジア・太平洋系人種(Asian or Pacific Islander)が約727万人(2.9%),アメリカインディアン・アラスカ先住民(American Indianor Alaskan Native)が約196万人(0.8%),その他の人種が約981万人(3.9%)となっている。近年,アメリカ国内に居住しスペイン語を話すラテンアメリカ系の人々である,ヒスパニック(Hispanic origin)が急増しており,1990年には,アメリカ総人口の9.0%を占めるに至っている。 アメリカ社会における,このヒスパニックをはじめとする,英語を必ずしも十分には解さない人々の増加は,犯罪の処分と犯罪者の処遇に対しても通訳問題等で影響を及ぼしている。 |