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2 覚せい剤事犯受刑者の矯正処遇 III-9図は,過去20年間における覚せい剤取締法違反による新受刑者の比率を男女別に見たものである。
覚せい剤取締法違反の新受刑者は,男子では昭和52年に10%,55年に20%を超え,58年以降26%前後でほぼ横ばい傾向を示している。女子では,52年以降急上昇し,56年に50%を超え,60年に57.5%とピークに達した後,引き続き50%台の高い水準で推移している。すなわち,新受刑者のうち,男子では4人に1人,女子では2人に1人が覚せい剤取締法違反であり,これは,矯正処遇を考える上で決して無視し得ない数値である。 III-9図 覚せい剤取締法違反による新受刑者の比率の推移 このように覚せい剤事犯新受刑者が急激に増加し5,000人台を超えた昭和54年ころから,覚せい剤等の薬物事犯受刑者のための特別処遇が積極的に実施されるようになったが,その実施は特定施設に限られていた。しかし,56年9月に矯正局長通達が発出され,覚せい剤事犯受刑者の処遇の充実強化について,対象となる受刑者の種別や問題の所在と程度に応じた指導方法を策定し,これに基づく教育及び指導を計画的かつ継続的に実施するよう指示されるに及び,これが全国的に実施される運びとなった。平成5年度(会計年度)以降,覚せい剤濫用防止指導が,いわゆる処遇類型別指導の一環として実施されている。これは,犯罪の原因等が同類型である者に対する指導等の教化の充実を図ることを目的としたもので,現在,全国74庁の行刑施設のうち,特に8庁を指定し,その指導要領案づくりのための調査・研究が強力に進められている。 III-10図 処遇類型別指導実施状況 III-10図は,平成6年4月1日現在における,いわゆる処遇類型別指導の実施状況を見たものである。覚せい剤濫用防止指導は,74庁のうち71庁で実施され,その実施率は95.9%となっているが,残る3庁についても,2庁は準備中であり,1庁は交通事犯の集禁施設で非該当(覚せい剤の一般予防教育のみ実施)である。 |