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 平成 5年版 犯罪白書 第2編/第1章/1 

1 成人犯罪者の処遇の概要

 II-1図は,成人犯罪者の処遇の流れを示したものである。
 警察等によって検挙された犯人に係る事件は,警察等によって必要な捜査が行われた後,微罪処分に係る事件(犯情の特に軽微な窃盗,詐欺,横領等の事件で,検察官が司法警察員に対し,月報として報告すれば足りると指定した事件)及び交通反則通告制度が適用され反則金の納付のあった事件等を除き,すべての事件が検察官に送致される。
 検察官は,これらの送致事件について捜査を行うほか,自らも必要に応じて事件を認知し,又は告訴・告発を受けて捜査することがある。検察官は,これらの事件について捜査を遂げると,犯罪の成否,証拠の内容,処罰の要否,その他諸般の情状を考慮して,起訴するか不起訴にするかを決める。

II-1図 刑事司法における犯罪者(成人)処遇の流れ

 裁判所に起訴された事件は,略式手続による場合は,簡易迅速な書面審理によって50万円以下(平成3年4月17日公布の刑事訴訟法及び罰金等臨時措置法の一部改正により,同年5月7日から略式手続による罰金刑の最高額が50万円となった。昭和47年7月1日から平成3年5月6日までは20万円以下)の罰金又は科料の裁判がなされ,公判手続による場合は,公判が開かれた上,裁判が行われる。公判手続によって有罪と認定された場合は,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留又は科料の刑が言い渡される。3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下(平成3年4月17日公布の刑法及び罰金等臨時措置法の一部改正により,同年5月7日から執行猶予に付し得る罰金刑の最高額が50万円となった。昭和47年7月1日から平成3年5月6日までは20万円以下)の罰金については,刑の執行が猶予されることがあり,刑の執行を猶予された者は,猶予の期間中保護観察に付されることがある。
 有罪の裁判が確定すると,執行猶予に付されない限り,検察官の指揮により刑が執行される。懲役,禁錮及び拘留は,刑務所等の行刑施設において執行される。行刑施設では,刑の執行を通じて矯正処遇を行い,受刑者の改善更生と社会復帰を図っている。なお,罰金又は科料を完納することができない者は,労役場に留置される。
 受刑者は,刑期の満了によって釈放され社会に復帰するが,刑期の満了前であっても,地方更生保護委員会の決定によって,仮釈放(懲役及び禁錮については仮出獄,拘留及び労役場留置については仮出場)が許される。仮出獄者は,仮出獄の期間中保護観察に付される。刑の執行を猶予され保護観察に付された者は,猶予の期間中保護観察に付される。
 売春防止法違反で補導処分に付された成人の女子は,婦人補導院に収容されるが,仮退院が許可されると保護観察に付される。
 保護観察に付された者は,保護観察所の保護観察官及び民間の篤志家である保護司の指導監督を受け,改善更生と社会復帰が図られる。