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 平成 4年版 犯罪白書 第4編/第3章/第5節/4 

4 まとめ

 以上,女子犯罪者の更生保護について述べてきたが,これを要約すると,仮釈放について,女子は男子に比べて仮出獄になる者の比率が高く,かつ,仮出獄の時期が早い者の比率が高いこと,保護観察について,新規受理人員の女子比が成人,少年共に上昇傾向にあることのほか,女子は,男子に比べて,[1]成人では年齢が高い者の比率が高いのに対し,少年では年齢が低い者の比率が高いこと,[2]成人,少年共に,罪名又は非行名別構成比の順位において薬物事犯が高いこと,[3]成人,少年共に,薬物等使用歴がある者の比率が高いこと,[4]成人,少年共に,不良集団と関係がある者の比率がほぼ同じか又は低いこと,[5]成人,少年共に,再犯率が低く,また,保護観察の成績良好率が高いこと,が指摘できる。
 ところで,女子に対する保護観察処遇は,実務経験に照らすと,男子に対する場合と比べて難しく,特に女子少年院仮退院者に対する場合が難しいといわれ,このために女子は再犯状況や保護観察の成績状況も不良であると考えられがちであるが,上記によれば,むしろ女子が男子よりも良好であることが明らかである。このことから推測すると,女子に対する保護観察は,その処遇過程において異性関係等で問題が生起しやすく,これに対処するための処遇が難しい場合も多いが,しかし,最終的には良好状態で終了することが多いと考えられる。