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10 外国人受刑者の処遇 平成3年の年末在所外国人受刑者は,男子1,255人,女子87人,総数1,342人であり,その国籍(地域を含む。)は,約8割が韓国・北朝鮮である。多くの者が,長く日本に在留し,我が国の風俗・習慣等になじんでおり,日本人と同一の処遇を受けている。
外国人受刑者のうち,「日本人と異なる処遇を必要とする外国人」はF級に分類され,男子は府中刑務所及び横須賀刑務所に,女子は栃木刑務所に収容されており,平成3年末のF級受刑者は,男子250人,女子20人,総数270人である。 近年,国際交流の活発化に伴い,来日外国人が多くなり,F級受刑者は増加傾向を示している。II-43表は,昭和57年から平成3年までの最近10年間のF級新受刑者数の推移を示したものであるが,3年のF級新受刑者数は,昭和57年の2.0倍である。その増加率は,最近10年間の交通関係業過を除く刑法犯の来日外国人検挙人員の増加率の4.7倍よりも低い。 II-44表は,最近10年間のF級新受刑者1,150人の罪名のうち,構成比の高い順に上位10位までを挙げたものである。なお,平成3年の138人の罪名を見ると,[1]強盗31人(22.5%),[2]窃盗23人(16.7%),[3]麻薬取締法違反20人(14.5%),[4]覚せい剤取締法違反14人(10.1%),[5]殺人8人(5.8%)の順となっている。 最近10年間のF級新受刑者等の入所時年齢はII-45表,同じく配偶関係はII-7図に示すとおりである。 次に,F級受型者について,特に重視すべき処遇重点事項とされているのは,[1]意思の疎通を図る,[2]厳正な規律の維持に努める,[3]日本人被収容者とのトラブル発生に注意する,[4]日本及び日本人に対する理解を深めさせる,の4項目である。 これらの処遇重点事項に従ってF級受刑者は処遇されているが,F級受刑者の出身地は,平成2年における法務総合研究所の調査によると約30か国にわたり,使用言語は,中国語,英語,タイ語,タガログ語,ウルドゥー語など種類が多いので,職員との意思の疎通が容易ではない場合がある。また,言語が分からないために他の被収容者とトラブルを生じることもあるので,その対策は,喫緊の検討課題となっている。 II-43表 F級新受刑者数の推移 II-44表 F級新受刑者の罪名 外国人受刑者には,その風俗・習慣に従い,必要に応じて,日本人とは異なる献立の食事及び飲料が支給され,所定の髪型以外の髪型による調髪等が認められる。また,外国語の図書等の閲読,信教の自由の保障などについて相応の配慮がなされている。II-46表は,最近10年間のF級出所受刑者等の出所事由を見たものである。仮釈放で出所した者のほとんどは,退去強制されている。 II-45表 F級新受刑者等の入所時年齢別構成比 II-7図 F級新受刑者等の配偶関係別構成比 II-46表 F級出所受刑者等の出所事由別構成比 |