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 平成 4年版 犯罪白書 第1編/第2章/第3節/2 

2 収賄事犯

 公務員犯罪の中でも,収賄事犯は,公務の公正に対する一般国民の信用を損ない,遵法意識の低下を招くなど,その及ぼす影響は計り知れない。この種事件は,収賄者,贈賄者の双方が罰せられることから,当事者だけで隠密裏に行われることが多い上,特定の被害者が存在しないことなども加わって,極めて潜在性が強い。この種事件の傾向を,単年度の統計で推し量ることは適当ではないので,最近10年間に収賄罪で検挙された公務員(みなす公務員を含む。)全員につき,これを昭和57年から61年までの5年間(以下,本節において「前期」という。)と,62年から平成3年までの5年間(以下,本節において「後期」という。)に分けて比較してみる。

I-33表 収賄公務員の種類別検挙人員

 I-33表は,公務員の種類別に,前期と後期とを比較したものである。これによれば,検挙人員は,いずれの公務員の種類においても前期に比べて後期が減少している。
 平成3年に警察が検挙した事件の賄賂総額は1億8,160万円(前年より2,865万円減),収賄者1人当たりの賄賂額は204万円(前年より6万円増)となっている(警察庁刑事局の資料による。)。
 I-34表は,昭和61年から平成2年までの5年間における収賄事件の第一審裁判所の科刑状況を見たものである。2年に執行猶予を付された者の比率は,過去5年間で昭和62年に次ぐ高さとなっている。なお,2年に収賄事件で有期懲役刑の実刑を言い渡された人員は3人で,その内訳は,刑期が1年以上2年未満の者が2人,刑期が2年以上3年未満の者が1人となっている(司法統計年報による。)。

I-34表 収賄事件の第一審科刑状況