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1 概 説 昭和26年以降における毒劇法違反を除く薬物事犯の警察等による検挙人員の推移を見ると,I-10図のとおりである。
覚せい剤取締法違反(以下「覚せい剤事犯」という。)は,この法律が施行された昭和26年から第一のピークを示した29年にかけて急激に増加したが,29年及び30年の2回にわたる罰則の強化等によって,急激に沈静化した。しかし,45年には再び増加に転じ,48年に更に罰則が強化されたが効果が上がらず,59年に第二のピークを示し,その後,緩やかな減少傾向が見られるものの,引き続き高い数値を示している。この検挙人員の減少は,検挙の困難性の増大などの原因によるものと認められる。 麻薬取締法違反は,昭和28年に新しい麻薬取締法が施行されたが,ピークを示した38年まで高い数値で推移し,同年に罰則が強化されると,翌39年から急激に減少し,41年以降,低い数値が続いている。 大麻取締法違反は,昭和38年以降,引き続き増加傾向を示している。 なお,最近,覚せい剤や大麻以外にも,コカイン,ヘロイン,LSDなど多様な薬物等の濫用が急増する兆しが見られ,その濫用者層が青少年,主婦等の一般市民層へ徐々に浸透しつつあることから,薬物事犯に対する取締りの強化が強く要請されている。 こうした背景から,新たに向精神薬を取締りの対象とするため,麻薬取締法の一部が改正され,麻薬及び向精神薬取締法が平成2年8月25日から施行された。また,麻薬及び向精神薬の不正取引を防止するため,3年10月2日,いわゆる麻薬二法(「麻薬及び向精神薬取締法等の一部を改正する法律」及び「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」)が制定され,4年7月1日から施行された。 I-10図 薬物事犯検挙人員の推移 |