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 平成 3年版 犯罪白書 第4編/第5章/第3節/1 

第3節 更生保護会在会者の特質と処遇

1 更生保護会在会者の特質

 IV-83表は,法務総合研究所が,更生保護会在会者の実態を把握し,処遇上の問題点を明らかにするため,昭和54年2月15日及び平成2年9月1日を調査日として,全国の更生保護会における在会者について,更生保護会を通じて行った調査結果に基づき,在会者の年齢層別人員を見たものである。昭和54年に比して平成2年では,40代の年齢層の構成比はそれほど変化していないのに対して,20代及び30代の年齢層の構成比が下降し,実数でも減少している。他方,50歳以上の年齢層の構成比が上昇し,実数でも増加している。
 以下,平成2年9月1日現在の更生保護会在会者について,6か月後の3年3月1日を調査日として在会中の状況を調査した結果に基づき,更生保護会在会者の特質などを見る。

IV-83表 更生保護会在会者の年齢層別人員(昭和54年2月15日,平成2年9月1日各現在)

 ア 在会の有無等
 IV-84表は,平成2年9月1日現在の更生保護会在会者の,3年3月1日の時点での在会・退会別人員を年齢層別に見たものである。在会している者の比率は,20代が最も低く,年齢層が高くなるにつれて上昇している。
 IV-85表は,退会している者の在会期間を年齢層別に見たものである。年齢の高い層ほど在会期間の長い者の比率が高くなっている。
 IV-86表は,平成3年3月1日の時点で在会している者の在会期間を年齢層別に見たものである。ここでも,20歳未満を除いて,年齢の高い層ほど在会期間の長い者が多いことが示されている。

IV-84表 更生保護会在会・退会別人員

IV-85表 更生保護会退会者の在会期間

IV-86表 更生保護会在会者の在会期間(平成3年3月1日現在)

 イ 就業状況等
 IV-87表は,調査対象者の更生保護会退会時又は平成3年3月1日現在の就業状況を見たものである。就業している者の比率は,30代が最も高く,年齢層が高くなるにつれて下降しているが,60歳以上でも7割の者が就業している。ただし,60歳以上の工員や運転手の比率は低くなっている。
 IV-88表は,就業していない者の不就業理由を年齢層別に見たものである。「病気又は負傷」は,年齢層が高くなるにつれて比率が上昇している。
 「身体障害」は,40歳以上の年齢層にのみ該当があり,年齢の高い層ほど比率が上昇している。

IV-87表 就業状況

IV-88表 不就業の理由

 ウ 健康状態等
 IV-89表は,調査対象者の健康状態等を年齢層別に見たものである。「虚弱」の比率は,年齢層が高くなるにつれて上昇し,50歳以上では大幅に上昇している。
 エ 生活保護
 IV-90表は,調査対象者の生活保護の受給状況を年齢層別に見たものである。更生保護会在会者には,十分な資力をもたない者が少なくなく,病気や負傷をした場合には,生活保護を受けざるを得ないことになる。生活保護のうち医療扶助を受けている者は,20代,30代にも見られるが,40歳以上では年齢層が高くなるにつれて受給する者の比率も上昇している。生活扶助については,40歳以上の年齢層にのみ該当があり,年齢層が高くなるにつれて受給者の比率が上昇している。

IV-89表健康状態等

IV-90表生活保護受給状況

 オ 家族との接触・通信状況
 IV-91表は,調査対象者の在会中における家族との接触・通信状況を見たものである。「接触なし」も「通信なし」も,50代が最も高くなっている。
 同表では「非該当」として示されている「家族なし又は行方不明」の比率は,50歳以上の年齢層において高くなっている。
 カ 退去先の見通し
 IV-92表は,平成3年3月1田こおける在会者について,退去先の見通しを年齢層別に見たものである。各年齢層で最も比率の高いのが,「未定」であり,30代でやや低いほかは,いずれも5割以上となっている。次いで,20歳未満では「親もと」,20代では「住込み就労」となっているのに対して,30歳以上の各年齢層では「アパート等」となっている。60歳以上では,「アパート等」の比率が下降し,老人ホームなどが挙げられている。
 キ 退会者の退去先等
 IV-93表は,退会した者の退去先等を年齢層別に見たものである。「単身でアパート等」の比率は,年齢層が高くなるにられて上昇している。40歳以上の各年齢層では,「単身でアパート等」の比率が最も高く,次いで「住込み就労」となっている。