高齢化の時代を迎えて,矯正の分野にいかなる変化が現れているか,特に受刑者の年齢群が上がるにつれてどのような特質が見られるかなど受刑者の年齢群別実態を明らかにするために,特別調査を実施した。この特別調査は,主として受刑者の客観的側面を知るための実態調査及び主として受刑者の主観的側面を探るための意識調査からなっており,実態調査は,施設職員が分類調査票等の公的資料に基づいて記入する「受刑者の実態調査票」により,また,意識調査は,受刑者自身が回答を記入する「生活意識に関する調査」により,それぞれ行った。
調査対象者は,平成2年度(会計年度)に我が国の行刑施設45庁において入所時教育を受けた受刑者中の3,181人である。その年齢群別の人員は,「50歳以上」が994人(初入者427人,再入者567人),「35〜49歳」が1,100人(初入者506人,再入者594人),「20〜34歳」が1,087人(初入者681人,再入者406人)である。以下,本章においては,「50歳以上」を「高年群」,「35〜49歳」を「中年群」,「20〜34歳」を「若年群」という。
IV-28表 調査対象人員
本節においては,特別調査のうち実態調査の結果を,初入・再入別に分けて,年齢群別に考察することとする。