最近3年間における少年院新収容者を短期処遇の両区分及び長期処遇の五つの処遇課程(以下「処遇課程等」という。)別に見ると,III-36表のとおりであり,少年院新収容人員は,昭和60年以降漸減傾向にある。これを処遇区分別に見ると,平成2年では,前年と比べて,長期処遇は13.3%減,一般短期処遇は12.9%減となっているが,交通短期処遇は7.4%増となっている。
III-36表 少年院新収容者の処遇課程等別人員(昭和63年〜平成2年)
III-37表 少年院新収容者の処遇区分・年齢別人員(昭和63年〜平成2年)
III-37表は,新収容者の年齢別人員を処遇区分別に見たものである。平成2年における総数は,20歳未満のどの年齢においても,前年より減少している。
III-38表は,新収容者の非行名別人員を処遇区分別に見たものである。平成2年の総数を見ると,放火,業過及び道路交通法違反は前年より増加しているが,それ以外は,前年と同数又は前年より減少している。男女別では,男子が刑法犯の割合が高いのに比して女子は特別法犯及び虞犯の割合が高いのが特徴である。
III-38表 少年院新収容者の処遇区分・非行名別人員(昭和63年〜平成2年)
平成2年の新収容者の教育程度について見ると,高校在学・中退以上の者の占める比率は,交通短期処遇(50.5%)が最も高く,以下,一般短期処遇(34.3%),長期処遇(24.8%)の順になっている。中学在学の者は,長期処遇10.9%,一般短期処遇9.8%であり,男女別では,女子は21.1%で,男子の8.4%に比べて高率である。
III-16図は,新収容者の不良集団への加入歴の構成比を処遇区分別に示したものである。地域不良集団への加入歴がある者は,長期処遇,一般短期処遇で高く,暴走族への加入歴がある者は,交通短期処遇で著しく高い。
III-39表は,法務省矯正局の調査によって明らかにされた,平成3年3月31日現在の全国少年院在院者3,291人の主な特性について,男女別,年齢層別に見たものである。初発非行年齢について見ると,男子の年少少年では,39.3%が12歳未満で既に非行歴を有しているのに対して,女子の年少少年では87.4%が12歳以降になって非行が始まっている。中間少年及び年長少年の場合も,女子は男子に比べて非行の始まりが遅い。問題行動歴について見ると,男女共に,家出,怠学・登校拒否,有機溶剤濫用及び万引きの比率が高いが,男女を比較すると,男子の比率が女子のそれよりも高いものは,対教師暴力及び生徒間暴力であり,逆に女子の比率が男子のそれよりも高いものは,家出,怠学・登校拒否,有機溶剤濫用及び覚せい剤濫用である。家庭環境上の問題では,男女共に父母間の不和・葛藤,父母離婚・別居の比率がそれぞれ5割前後を占めているなど,少年院在院者には家庭上の問題を抱えている者の多いことがうかがえる。
III-16図 新収容者の処遇区分・不良集団加入歴別構成比(平成2年)
III-39表 少年院在院者の主な特性についての男女・年齢層別構成比(平成3年3月31日現在)