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 平成 3年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/2 

2 鑑  別

 III-11図は,観護措置による被収容少年に対する鑑別の流れを示したものである。観護措置による収容の期間は最長4週間と定められており,この期間に鑑別に必要な処遇と調査が行われる。

III-11図 少年鑑別所における収容鑑別対象少年の鑑別の流れ

 少年鑑別所における処遇は,少年を静かな環境におき,少年が安んじて審判を受けられるようにし,そのありのままの姿をとらえて資質の鑑別に役立てている。このため,少年の身柄の確保,心情の安定を図るほか,生活管理上必要な処遇を行いながら,行動観察を通じて鑑別に必要な情報の収集を行っている。
 鑑別のための調査は,面接,心理検査,精神及び身体医学的検査,行動観察,生活史及び環境に係る資料等によって行われる。これらから得られた情報を基に,少年の資質と非行性との関連,問題点の所在及び特徴,処遇上の指針等を検討するために判定会議を開催し,判定意見が決められるが,これを鑑別判定という。鑑別判定には,大きく分けて保護不要,在宅保護,収容保護及び保護不適の4種があり,保護不要は,公的な機関による継続的な指導,監督がなくとも改善,更生が期待できる者,在宅保護は,保護観察所又は児童福祉機関等による指導監督又は補導援護により改善,更生が期待できる者,収容保護は,少年院における矯正教育,教護院における教護,又は養護施設における養護により改善,更生が期待できる者,保護不適は,検察官送致を相当とする者及び重度の心身の疾病又は障害のため,専門的医療措置を最優先するのが相当である者に対してそれぞれ付される。鑑別で得られた結論は,「鑑別結果通知書」にまとめられ審判の資料として家庭裁判所へ送付されるが,鑑別判定は,これに記載されることになっている。
 家庭裁判所は,少年院送致決定を行うに当たって,送致する少年院の種類(初等,中等,特別及び医療)を指定し,また,短期処遇(交通短期処遇及び一般短期処遇)等の勧告を行うことができる(本章第4節1(1)参照)。
 なお,鑑別の結果は,「少年簿」に記載され,保護処分の決定がなされた場合,その処分の執行に資するため,少年院,保護観察所等へ送付される。
 少年院送致決定のあった少年については,さらに,家庭裁判所等の処遇に関する意見を考慮し,判定会議の討議内容に基づき,少年院における処遇指針を作成する。
 少年鑑別所は,上記の収容鑑別以外にも,在宅のまま家庭裁判所に事件が係属している少年の鑑別(在宅鑑別),少年院,地方更生保護委員会,保護観察所,検察庁等の求めによる鑑別(依頼鑑別)及び一般家庭や学校等から依頼を受けた少年に対する鑑別(一般少年鑑別)も行っている。このように,少年鑑別所は,他の矯正施設と異なって,身柄の収容を伴わない対象者に対する鑑別という機能も有しており,広く非行防止に寄与している。