文部省の学校基本調査によれば,近年,我が国における義務教育就学率は,ほぼ100%に達している。また,義務教育修了者の定時制を含む高等学校進学率は,平成2年においては94.4%に達しており,さらに,高等学校卒業者等の短期大学を含む大学進学率は36.3%となっている。このような上級学校進学率の上昇に伴って,勤労少年の数は激減している。
III-16表は,最近5年間における交通関係業過を除く少年刑法犯について,中学生・高校生別検挙人員と,その在学生総数1,000人に対する比率を見たものである。平成2年の検挙人員は,中学生及び高校生共に前年より減少し,在学生数1,000人当たりの比率は,中学生で13.8,高校生で10.8となっている。
III-16表 少年刑法犯の中学生・高校生別検挙人員及びその在学生に対する比率(昭和61年〜平成2年)
III-17表は,最近5年間における犯罪少年の学職別構成比を示したものである。平成2年における犯罪少年の学職別構成比は,学生・生徒が63.3%で最も高く,有職者が21.1%,無職者が15.6%で,学生・生徒の占める割合が圧倒的に高い。
III-17表 犯罪少年の学職別構成比(昭和61年〜平成2年)
III-18表 犯罪少年の学職・罪名別構成比(平成2年)
平成2年の学職別に見た犯罪少年の罪名別構成比は,III-18表に示すとおりである。有職,無職,学生・生徒を問わず,窃盗の占める比率は高いが,特に学生・生徒は66.7%と高い。暴行,傷害,脅迫,恐喝を合わせた粗暴な犯罪は,有職者が10.3%,無職者が9.6%,学生・生徒が9.1%の順に低くなり,強姦は,有職者,無職者,学生・生徒の順になっているが,いずれも1%に満たない。
III-19表は,最近5年間における校内暴力事件の検挙状況を見たものである。平成2年の検挙件数は780件で,前年に比べ159件(16.9%)の減で,検挙人員は391人(14.7%),被害者数は188人(11.8%)の減となっている。
III-19表 校内暴力事件の検挙状況(昭和61年〜平成2年)