昭和35年以降31年間の有期懲役・禁錮確定人員中の執行猶予率(「執行猶予率」の定義については,凡例参照)の推移を見ると,II-2図のとおりである。懲役に対する執行猶予率は,35年の51.5%から若干の起伏を示しながら推移し,平成2年には56.8%となっている。禁錮に対する執行猶予率は,懲役に対するものより高く,昭和35年の78.0%から平成2年の94.0%へと推移している。
II-2図 有期懲役・禁錮確定人員中の執行猶予率の推移(昭和35年〜平成2年)
II-15表 初度・再度別執行猶予確定人員(昭和61年〜平成2年)
II-15表は,最近5年間における執行猶予の初度・再度別確定人員を見たものである。最近5年間においては,執行猶予人員の96.8%ないし97.3%が,初度の者で占められている。初度の執行猶予者で保護観察に付された者の比率は,平成2年は11.2%で,昭和61年以降最も低くなっている。なお,司法統計年報によれば,平成元年中に地方裁判所及び簡易裁判所において刑法犯で有罪判決の言渡しを受けた者のうち,犯行時に執行猶予中であった者は3,268人で,そのうち,判決言渡し時においてもなお執行猶予中でありながら再度の執行猶予の言渡しを受けた者は698人(21.4%)となっている。
II-16表は,最近3年間の執行猶予取消人員を取消事由別に見たものである。平成2年の取消事由を見ると,再犯により禁錮以上の刑に処されたことによるものが95.2%と,圧倒的多数を占めている。なお,ある年次における執行猶予確定人員と,その年次における執行猶予取消人員とは,その対象が異なるので,前者に対する後者の比率は,厳密な意味での執行猶予取消率とはいえないが,執行猶予取消しのおおよその傾向を知るため,従来からこの比率を算出している。
II-16表 取消事由別執行猶予取消人員(昭和63年〜平成2年)