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 平成 3年版 犯罪白書 第1編/第2章/第8節/1 

第8節 女子犯罪

1 女子刑法犯

 I-56表は,最近10年間における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員及び人口比(14歳以上の者1,000人当たりの検挙人員の比率)を男女別に示したものである。女子の検挙人員は,昭和58年をピークとして減少傾向にあったが,62年及び63年と2年続いて増加した後,再び減少し,平成2年には,前年より9.5%減の6万194人となっている。また,2年の女子の人口比及び検挙人員に占める女子の比率は,いずれも前年より低くなっている。
 I-57表は,平成2年における女子の交通関係業過を除く刑法犯の罪名別検挙人員を,昭和56年及び平成元年と対比して示したものである。2年においても,前年と同様,検挙人員の約8割を窃盗が占めており,以下,横領,傷害,詐欺の順となっている。窃盗の4分の3は万引きであり,横領の98.4%が占有離脱物横領である。また,刑法犯に占める女子の比率は,窃盗,殺人,放火の順となっている。なお,殺人の中でも嬰児殺の9割以上は女子により犯されたものである。

I-56表 男女別刑法犯検挙人員(昭和56年〜平成2年)

 次に,平成2年の女子の交通関係業過を除く刑法犯検挙人員の年齢層別構成比(犯行時の年齢による。)を昭和56年と比較したものが,I-58表である。女子について,検挙人員に占める少年の比率(以下「少年比」という。)を見ると,56年には44.7%であったものが平成2年には57.2%へと上昇しており,2年の女子の少年比は,昭和41年以降の最高値を記録している。年齢層別構成比を見ると,60歳以上の者については,56年より平成2年の方が高くなっているが,成人女子の他の年齢層では,昭和56年より平成2年の方が低くなっており,高齢者の占める比率が高くなる傾向にある。なお,2年における女子刑法犯検挙人員中,女子の少年比の高い罪名は,恐喝83.0%(実数547人),傷害79.1%(同1,234人),暴行74.4%(同305人)となっている。

I-57表 女子刑法犯の罪名別検挙人員(昭和56年,平成元年,2年)

I-58表 女子刑法犯の年齢層別検挙人員(昭和56年,平成2年)