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 平成 2年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/3 

3 被疑事件の処理

 II-3表は,平成元年における検察庁の終局処理人員を罪名別に見たものである。終局処理人員総数は,前年より12万6,854人減少して,222万1,317人である。これも,主として道交違反事件数の減少(10万8,414人減)に伴うものである。終局処理区分別に見ると,公判請求が10万2,283人(4.6%),略式命令請求が120万4,014人(54.2%),起訴猶予が41万8,900人(18.9%),その他の理由による不起訴が5万709人(2.3%),家庭裁判所送致が44万5,411人(20.1%)となっている。次に,終局処理人員の罪名別構成比を見ると,道交違反が53.7%と最も高く,交通関係業過の27.8%がこれに続いている。この両者を除いた人員の罪名別構成比では,窃盗の45.1%を筆頭に,以下,傷害の7.2%,横領の6.0%,覚せい剤取締法違反の5.2%,詐欺の3.4%の順となっている。
 II-4表は,最近3年間における罪名別の起訴率及び起訴猶予率を見たものである。全事件について見ると,平成元年の起訴率は,前年より2.5ポイント下降して73.6%となっており,起訴猶予率は,前年より2.5ポイント上昇して24.3%となっている。交通関係業過を除く刑法犯について見ると,元年の起訴率は56.7%で前年より1.0ポイント上昇し,起訴猶予率は36.9%で前年より0.9ポイント下降している。
 起訴率を罪名別に見ると,平成元年では,道交違反が最も高く94.3%で,以下,覚せい剤取締法違反の87.4%,暴力行為等処罰法違反の78.9%,傷害の76.4%,銃砲刀剣類所持等取締法違反の73.2%,強盗の71.8%の順となっている。最も低いのは,交通関係業過の39.8%である。
 起訴猶予率を罪名別に見ると,平成元年では,交通関係業過が最も高く58.1%で,以下,窃盗の44.6%,賭博・富くじの37.9%,詐欺の30.1%などとなっており,最も低いのは殺人の5.1%である。

II-3表 罪名別検察庁終局処理人員    (平成元年)

II-4表 罪名別起訴・起訴猶予率(昭和62年〜平成元年)

 次に,最近5年間における交通関係業過及び道交違反を除く不起訴処分人員を理由別に見るとII-5表のとおりである。平成元年における不起訴人員総数は7万9,389人で,前年より1万163人減少している。起訴猶予の比率は77.3%で,嫌疑なし・不十分の比率は15.2%となっている。心神喪失で不起訴となった者は前年より6人減の478人であり,比率では0.6%である。

II-5表 不起訴処分における理由別人員(昭和60年〜平成元年)