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3 被疑事件の処理 II-3表は,昭和63年における検察庁の終局処理人員を罪名別に見たものである。終局処理人員総数は,前年より29万9,082人減少して234万8,171人である。これも前記道交違反事件の減少に伴うものである。終局処理区分別に見ると,公判請求が11万1,650人(4.8%),略式命令請求が131万7,427人(56.1%),起訴猶予が39万7,475人(16.9%),その他の理由による不起訴が5万1,970人(2.2%),家庭裁判所送致が46万9,649人(20.0%)となっている。次に,終局処理人員の罪名別構成比を見ると,道交違反が55.4%と最も高く,交通関係業過の25.2%がこれに続いている。この両者を除いた人員の罪名別構成比では,窃盗の44.7%を筆頭に,以下,傷害の6.6%,横領の6.2%,覚せい剤取締法違反の5.7%,詐欺の3.4%などの順となっている。
II-3表 罪名別検察庁終局処理人員(昭和63年) II-4表は,最近3年間における罪名別の起訴率及び起訴猶予率を見たものである。全事件について見ると,昭和63年の起訴率は,前年より4.9ポイント下降して76.1%となっており,起訴猶予率は,前年より4.8ポイント上昇して21.8%となっている。これは主に,検察庁において交通関係事犯の処理方針の見直しが図られ,交通関係業過及び道交違反の起訴率が低下し,起訴猶予率が上昇したことによるものである。交通関係業過を除く刑法犯について見ると,63年の起訴率は55.7%で前年より2.0ポイント下降し,起訴猶予率は37.8%で前年より1.3ポイント上昇している。II-4表 罪名別起訴・起訴猶予率(昭和61年〜63年) 起訴率を罪名別に見ると,昭和63年では,道交違反が最も高く93.9%で,以下,覚せい剤取締法違反の87.5%,暴力行為等処罰法違反の78.4%,傷害の77.7%,贈収賄の77.2%,銃砲刀剣類所持等取締法違反の72.3%,強盗の71.9%などの順となっている。最も低いのは殺人の22.2%であるが,これは,前述のように同一受刑者が多数の矯正職員を殺人未遂で告訴・告発した事件が含まれているためであり,この事件を除いた殺人の起訴率は53.1%である。起訴猶予率を罪名別に見ると,昭和63年では,交通関係業過が最も高く53.0%で,以下,窃盗の46.2%,賭博・富くじの36.8%,詐欺の30.3%などの順となっており,最も低いのは道交違反の5.6%である。 次に,最近5年間における交通関係業過及び道交違反を除く不起訴処分人員を理由別に見るとII-5表のとおりである。昭和63年における不起訴人員総数は8万9,552人で,前年より9,261人減少している。起訴猶予の比率は77.6%で,嫌疑なし・不十分の比率は16.4%となっている。心神喪失で不起訴となった者は前年より27人増の484人であり,比率では0.5%である。 II-5表 不起訴処分における理由別人員(昭和59年〜63年) |