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 平成 元年版 犯罪白書 第1編/第4章/第2節 

第2節 犯罪者の国外逃亡

 日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡している被疑者は,昭和63年末現在で273人であり,前年に比べて32人(13.3%)増加している。この内訳は,刑法犯の被疑者153人,特別法犯の被疑者120人であり,このうち80人(総数の29.3%)は,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び大麻取締法違反の薬物犯罪を犯した者である。国外逃亡被疑者の国籍を見ると,日本が91人(総数の33.3%)で最も多く,次いで韓国の38人(総数の13.9%)となっており,日本を含めたアジア地域の国籍をもつ者が合計249人で,総数の91.2%を占めている(警察庁刑事局の資料による。)。
 我が国が昭和63年中に外国から犯罪人の引渡しの正式請求を受けた事例は,アメリカ合衆国から請求のあった業務上横領事件の1件1名であり,同年中に身柄の引渡しを完了している。我が国が同年中に外国に対して犯罪人の引渡しを正式に要請した事例はない。