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 平成 元年版 犯罪白書 第1編/第2章/第9節/1 

第9節 女子犯罪

1 女子刑法犯

 I-57表は,最近10年間における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員及び人口比(有責人口1,000人に対する検挙人員の比率)を男女別に示したものである。これによると,女子の検挙人員は,昭和58年をピークとして減少傾向にあったが,62年から再び増加傾向にあり,63年には前年に比べて4,578人(5。9%)増の8万2,640人となっている。また,女子の人口比及び検挙人員に占める女子の比率(女子比)も上昇して,それぞれ1.6,20.8%となっている。

I-57表 男女別刑法犯検挙人員(昭和54年〜63年)

 I-58表は,昭和63年における交通関係業過を除く女子刑法犯の罪名別検挙人員を,54年及び62年と対比して示したものである。63年においても,検挙人員の首位を占めるものは,窃盗の6万8,840人で,総数の83.3%を占め,前年に比べて3,932人(6.1%)の増加となっている。次いで,横領5,678人,傷害1,709人,詐欺1,519人などがこれに続いているが,その構成比は,いずれも低い。女子比が比較的高いものとしては,窃盗や殺人などが挙げられるが,殺人の中でも嬰児殺は,63年の検挙人員が66人で,女子比は94.3%となっている。

I-58表 女子刑法犯の罪名別検挙人員(昭和54年,62年,63年)

 次に,昭和63年の交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員の年齢層別構成比を54年と比較したものが,I-59表である。これによると,女子検挙人員に占める女子少年の比率は,54年では37.6%であったが,63年には52.2%に上昇している。また,女子成人の比率は,20歳代から40歳代までは低下しているが,60歳代以上では高くなり,高齢化の傾向がうかがわれる。なお,63年における女子刑法犯検挙人員中,罪名別の年齢層別構成比を見ると,検挙人員の大半を占める窃盗では,女子少年が54.3%を占めている。そのほか女子少年の占める比率の高い罪名は,実数はそれほど多くはないが,恐喝(82.1%),暴行(73.8%),傷害(73.4%)などの粗暴な犯罪となっている。

I-59表 女子刑法犯の年齢層別検挙人員(昭和54年,63年)