第3節 多数回受刑者と矯正処遇
1 概 説 多数回受刑者は,施設収容歴のある再入受刑者の中でも最も犯罪傾向の進んでいる受刑者であり,その矯正処遇が極めて困難なものであることは改めて指摘するまでもない。しかし,矯正処遇は,矯正の難易を問わず,いかなる受刑者に対しても,個々の受刑者の社会復帰にとって障害となっている要因を的確に把握し,必要な処遇を実施することに成否がかかっているのであるから,多数回受刑者に対しても適正で効果的な処遇が期待されるところである。 現行の受刑者分類規程によると,多数回受刑者の大部分は,収容分類級のB級(犯罪傾向の進んでいる者)に判定され,B級の矯正施設に収容されている。昭和62年8月1日現在,B級の施設は全国で本所だけで27を数え,全受刑者の5割強がこれらの施設に収容され,作業の賦課,職業訓練,生活指導,教科教育,医療・養護処遇,保護調整などの各般にわたる矯正処遇を受けている。
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