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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第5節 

第5節 財産刑の多数回前科者

 昭和61年に全国の地方裁判所及び簡易裁判所において有罪裁判の言渡しを受けた者237万3,096人のうち,罰金に処せられた者は227万1,850人(95.7%),科料に処せられた者は2万6,479人(1.1%)である。罰金刑を受けた者の内訳を見ると,道交違反が183万2,671人(罰金刑を受けた者の80.7%),業務上過失致死傷が36万3,802人(同16.0%),その他は7万5,377人(同3.3%)である。また,科料を受けた者の内訳を見ると,道交違反が2万2,222人(科料を受けた者の83.9%),その他は4,257人(同16.1%)である。このように,財産刑(罰金及び科料)を受けた者の大多数は道交違反及び業務上過失致死傷を犯した者であるが,それ以外で財産刑を受けた者も7万9,634人に上っており,同年に自由刑の判決を受けた者より多く,財産刑も刑罰として大きな役割を果たしていると言えるであろう。また,昭和61年に道交違反及び業務上過失致死傷以外で財産刑を受けた者のうち,多数回前科者は,3.4%の2,710人(調査時現在裁判未確定を除く。)である。

IV-38表 財産刑多数回前科者の年代別罪名順位

 本節では,多数回前科者総数4万5,755人のうち,主として財産刑を繰り返し受けている者の特徴を見るため,前科の半数以上が財産刑である多数回前科者(以下「財産刑の多数回前科者」という。)2万3,665人(51.7%)について考察することとする。