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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第4節 

第4節 自由刑の多数回前科者

 自由刑は,今日の刑罰制度においては主要な地位を占めている。昭和61年における地方裁判所及び簡易裁判所での全有罪言渡人員中で自由刑の言渡しを受けた者の比率は,3.2%(財産刑96.8%)であって,全体では財産刑の方が多数を占めるが,財産刑のほとんどは道交違反及び業過てあり,これを除くと自由刑が41.8%(財産刑が58.2%)となる。また,財産刑は略式裁判によって科されることが多いので,これを除外し,同年中に地方裁判所及び簡易裁判所の通常第一審裁判で有罪判決を受けた者について見ると,自由刑が97.7%を占めており,主要な犯罪に対する中心的な刑罰は自由刑であると言うことができる。自由刑には,懲役,禁錮及び拘留の3種類があるが,拘留は罰金より軽い刑とされているなど懲役及び禁錮とは性格を異にするため,本節では自由刑から拘留を除いて分析し,自由刑の前科が過半数の多数回前科者(以下「自由刑の多数回前科者」という。)を取り上げて,考察することとする。