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4 暴力団関係者の累犯 (1) 概 説
次に,累犯に密接な関係のある受刑者中の暴力団関係者を取り上げ,その累犯の傾向を考察することとする。まず,最近における犯罪態様の特徴を見てみよう。IV-16表は,昭和51年,56年及び61年の5年おきの各年における暴力団関係新受刑者について,その入所に係る犯罪の特徴を知るため,主要罪名別に構成比を見たものである。覚せい剤取締法違反は,51年の20.7%から61年の39.9%へ激増しているが,傷害,暴行及び暴力行為等処罰法違反は,51年の29.1%から61年の18.6%へ,売春防止法違反及び賭博・富くじは,3.7%(46年は9.3%)から1.9%へ,強制猥褻及び強姦は,1.9%(46年は3.9%)から0.7%へといずれも減少しているのが注目される。 IV-16表 暴力団関係新受刑者の罪名別構成比(昭和51年,56年,61年) (2) 暴力団関係者の累犯暴力団関係受刑者は,昭和62年末では,全受刑者の30.6%(実人員1万4,077人)を占め,52年末の23.1%(実人員9,195人)と比べ,実人員,構成比共に増加している。また,新受刑者中の暴力団関係受刑考について,刑法上の累犯の実人員及び構成比を見ると,62年では4,993人(64.6%)であって,52年の3,904人(60.0%)を大きく上回っている。通常第一審刑法犯有罪人員中に占める刑法上の累犯の比率は約20%であるから,暴力団関係新受刑者中の累犯の占める比率は,異常に高いものであると言わざるを得ない。 次に,IV-17表は,昭和51年,55年及び60年以降の最近3年間における新受刑者中の暴力団関係者について,その入所度数別人員の比率を見たものである。暴力団関係者中,2度以上の入所歴を有する者の比率は,最近3年間では上昇の傾向にあり,62年は71.9%となっているが,これは,10年前の調査結果(52年で68.3%)と比べても,新受刑者総数中2度以上の入所歴を有する者の比率(62年で60.7%)と比べても,高い数値である。 以上,暴力団関係受刑者は,10年前と比べ,実人員及びその受刑者総数中に占める構成比共に増加し,また,その犯罪態様において,覚せい剤犯罪の激増や風俗犯罪の減少にうかがわれるように,社会情勢の変化に応じて資金源とされる犯罪に変化が認められるほか,刑法上の累犯及び2度以上の入所歴を有する者の比率が異常に高いなど,常習的犯罪者の一層の増加が認められる。 IV-17表 暴力団関係新受刑者の入所度数別構成比(昭和51年,55年,60年〜62年) |