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恩赦には[1]大(有罪の言渡しを受けた者については,その効力を失わせ,また,まだ有罪の言渡しを受けない者については,公訴権を消滅させる。),[2]特赦(有罪の言渡しを受けた特定の者に対し,その効力を失わせる,。),[3]減刑(刑を減軽し,又は刑の執行を減軽するほか,刑の執行猶予中の者についでは,刑の減軽と併せて猶与の期間をも短縮させることができる。),[4]刑の執行の免除(刑の言渡しを受けた特定の者に対し,刑の執行を免除する。),[5]復権(有罪の言渡しを受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し,又は停止されている者に対して,その資格を回復させる。)の5種類がある。
恩赦は,これを行う方法で分けると,政令で罪や刑の種類,基準日等を定めて,これに該当する者に対して一律に行われる政令恩赦と,特定の者に対して個別的に審査した上で行われる個別恩赦とがある。 個別恩赦は,更地,常時恩赦と特別恩赦とに分けられる。前者は常時行われ,後者は政令恩赦が行われる際などに,同恩赦の要件から漏れた者などを対象として,内閣の定める基準により,一定の期間を限って行われる。個別恩赦は,検察官,行刑施設の長又は保護観察所長が,職権により又は本人からの出願に基づいて中央更生保護審査会に上申し,この上申を受けた同審査会が,審査を行った上,特赦,減刑,刑の執行の免除又は復権を相当と判断したとき,その実施について法務大臣に申出を行い,法務大臣が閣議を請求して,内閣がこれを決定し,天皇の認証を経て行われる。 常時恩赦について,昭和62年中に中央更生保護審査会が新たに受理した人員は208人で,恩赦の閣議決定が行われた人員は96人である。また,同審査会が恩赦不相当とした人員は78人である。II‐61表は,常時恩赦の種類・上申者別恩赦人員を示したものである。復権が73人で最も多く,76.0%を占めている。刑の執行の免除が行われた22人のうち,21人は無期刑で仮出獄中の者である。 II-61表 常時恩赦の種類・上申者別恩赦人員 復権は,既に更生したと認められる者で,前科のあることが社会的活動の障害や精神的負担となっている場合に,前記のとおり法令の定めるところにより喪失し,又は停止されている資格を回復させ,かつ,精神的負担を軽減させようとするものである。また,刑の執行の免除は,主として,無期刑の仮出獄者について保護観察を終了させる措置として採られるものである。この復権及び刑の執行の免除は,いずれも,これらの者の社会復帰を一層促進する刑事政策的役割を果たしている。 |