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 昭和63年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/3 

3 被疑事件の処理

 II-3表は,昭和62年における検察庁の終局処理人員を罪名別に見たものである。終局処理人員総数は,前年より66万2,169人減少して264万7,253人である。これも前記道交違反事件の減少に伴うものである。終局処理区分別に見ると,公判請求が12万5,421人(4.7%),略式命令請求が161万7,087人(61.1%),起訴猶予が35万6,283人(13.5%),その他の理由による不起訴が5万1,622人(2.0%),家庭裁判所送致が49万6,840人(18.8%)となっている。次に,罪名別構成比を見ると,道交違反が59.6%と最も高く,交通関係業過の22.1%がこれに続いている。この両者を除いた罪名別構成比では,窃盗の42.4%を筆頭に,以下,傷害の6.3%,覚せい剤取締法違反の5.6%,横領の5.5%,詐欺の3.6%などの順となっている。
 II-4表は,最近3年間における罪名別の起訴率及び起訴猶予率を見たものである。全事件について見ると,昭和62年の起訴率は,前年より8.0ポイント下降して81.0%となっており,起訴猶予率は,前年より7.8ポイント上昇して17.0%となっているが,交通関係業過及び道交違反の起訴率の低下,起訴猶予率の上昇によるものである。交通関係業過を除く刑法犯について見ると,62年の起訴率は57.7%で前年より1.8ポイント下降し,起訴猶予率は36.5%で前年より1.7ポイント上昇している。
 起訴率を罪名別に見ると,いずれの年次においても,道交違反が最も高く(昭和62年は94.8%),以下,覚せい剤取締法違反(同88.9%),傷害(同78.3%)の順となっており,その他,暴力行為等処罰法違反(同78.0%),贈収賄(同75.8%),強盗(同74.8%)及び銃砲刀剣類所持等取締法違反(同73.9%)なども高くなっている。
 起訴猶予率を罪名別に見ると,昭和62年では,窃盗が最も高く44.5%で,以下,交通関係業過の42.9%,賭博・富くじの33.8%,詐欺の29.6%などの順となっており,最も低いのは道交違反の4.8%である。

II-3表 罪名別検察庁終局処理人員

II-4表 罪名別起訴・起訴猶予率

 次に,最近5年間における交通関係業過及び道交違反を除く不起訴処分人員を理由別に見るとII-5表のとおりである。昭和62年における不起訴人員総数は9万8,813人で,前年より5,788人増加している。起訴猶予の比率は81.1%で,嫌疑なし・不十分の比率は13.5%となっている。心神喪失で不起訴となった者は前年より28人減の457人であるが,比率では0.5%である。

II-5表 不起訴処分における理由別人員