I-57表は，最近10年間における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員を男女別に示したものである。これによると，女子の検挙人員は，昭和58年をピークとして減少傾向にあったが，62年には前年に比べて206人(08　3%)増の7万8,062人となっている。もっとも，検挙人員に占める女子の比率(女子比)は，前年より低率の19.3%となっている。

I-57表　男女別刑法犯検挙人員

　I-58表は，昭和62年における交通関係業過を除く女子刑法犯の罪名別検挙人員を，53年及び61年と対比して示したものである。62年においても，検挙人員の首位を占めるのは窃盗の6万4,908人で，前年に比べ404人(0.6%)の減少となっているが，総数の83.1%を占め，依然としてその比率は高い。次いで，横領5,104人，詐欺1,637人，傷害1,603人などがこれに続いているが，その構成比は，いずれも低い。女子比が比較的高いものとしては，窃盗や殺人が挙げられるが，殺人の中でも嬰児殺は，62年の検挙人員が82人で，女子比は94.3%となっている。
　次に，昭和62年の交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員の年齢層別構成比を53年と比較したものが，I-59表である。これによると，女子検挙人員に占める女子少年の比率は，53年では37.2%であったが，62年には4.7.1%に上昇している。また，女子成人の比率は，20歳代から40歳代までは低下しているが，50歳代及び60歳以上では高くなり，高齢化の傾向がうかがわれる。

I-58表　女子刑法犯の罪名別検挙人員

　なお，昭和62年における女子刑法犯検挙人員中，罪名別の年齢層別構成比を見ると，検挙人員の大半を占める窃盗では，女子少年が48.7%を占めている。そのほか，女子少年の占める比率の高い罪名は，実数はそれほど多くはないが，恐喝(85.2%)，傷害(74.4%)，暴行(68.9%)などの粗暴な犯罪となっている。

I-59表　女子刑法犯の年齢層別検挙人員