第2章 身近に起こり得る犯罪を犯した者の処分についての国民の考え方
第1節 犯罪常習者の処遇について 我が国における成人の犯罪は,昭和45年以降,一貫して,横ばいないし減少傾向を示しているが,その一方で,新受刑者中に占める再入者(入所2度以上の者)の割合は,必ずしも低下していないという現実も見逃せない。すなわち,戦前の昭和9年から16年までは,新受刑者中に占める初人者と再入者の割合はおよそ相半ばしていたが,終戦をはさむ16年から26年までは初入者が多くなり,戦後に至り,27年以降はこの関係が逆転し,継続的に,再入者の占める比率が初人者のそれを上回っている。そして,これら再入者の中には,何回刑罰を受けても犯罪を繰り返して服役するいわゆる頻回受刑者も相当数含まれており,この種犯罪常習者に対していかなる処遇をなすべきかは,当面の刑事政策の重要な課題の一つとなっている。そこで,本節においては,まず,犯罪常習者の実態の一端を紹介した上,これらの者に対する処遇についての国民の考え方を探ってみることとする。
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