日本人の出国者数は，法務省入国管理局の資料によれば，昭和55年以来年々増加の一途をたどっており，61年には500万人を突破して一気に551万6,193人(前年より56万7,827人・11.5%増)となっている。これを，渡航先別に見ると，アメリカ合衆国が33.5%で最も多く，以下，台湾，韓国，香港，中国などの順になっており，前年比の増加率で見ると，最も高いのは，オーストラリアの33.6%(2万7,781人増)で，以下，カナダの26.8%(1万4,058人増)，ニュージーランドの25.2%(6,386人増)，韓国の23.1%(11万1,197人増)などとなっている。

I-75表　日本人の国外における犯罪の態様別通報受理件数(昭和57年〜61年)

　最近5年間の日本人の国外における犯罪について，外務省及び国際刑事警察機構等を通じて警察庁が通報を受理した件数は，I-75表のとおりである。通報受理件数は，昭和61年には，前年より10件(9.1%)減少して100件となっており，その内訳を見ると，麻薬・覚せい剤関係法令違反が34件と昨年より倍増して最も多く，次いで，関税・為替管理関係法令違反の22件，詐欺・偽造の13件などとなっている。これを日本人が犯罪を犯した国別に見ると，韓国が19件で最も多く，以下，アメリカ合衆国(18件)，タイ，イギリス(それぞれ9件)，インド(8件)，フィリピン(7件)，オーストラリア，イタリア(それぞれ3件)などとなっている(警察庁刑事局の資料による。)。
　次に，昭和61年中に，日本人が国外で被った犯罪被害のうち，直接人身に攻撃を加えられたもので，在外公館から外務省領事移住部に報告のあったものを見ると，I-76表のとおりである。これを罪名別に見ると，最も多い被害は強盗の150人で，次いで，殺人の13人，傷害の7人などとなっており，地域別に見ると，アメリカ合衆国及びメキシコにおける被害がそれぞれ22人で最も多く，以下，フィリピン，スペイン，フランス，イラクなどとなっている。なお，被害を被った者の総数178人のうち，死亡した者は12人であり，日本人の加害者により被害を被った者は4人である。

I-76表　日本人の国外における犯罪(人身)被害人員(昭和61年)