第2節 犯罪者の国外逃亡 日本国内で犯罪を犯して国外に逃亡している被疑者は,昭和61年末現在で229人であり,前年に比べて10人(4.6%)増加している。この内訳は,刑法犯の被疑者117人,特別法犯の被疑者112人であり,このうち82人(総数の35.8%)は,覚せい剤取締法違反,麻薬取締法違反及び大麻取締法違反の薬物事犯を犯した者である。国外逃亡被疑者の国籍を見ると,日本が74人(総数の32.3%)で最も多く,次いで韓国の37人(同16.2%)となっており,日本を含めたアジア地域の国の国籍を持つ者が合計211人で,総数の92.1%を占めている(警察庁刑事局の資料による。)。 我が国が犯罪人引渡条約を締結している相手国は,アメリカ合衆国のみであるが,昭和61年中に同国から犯罪人の身柄引渡しの正式請求を受けた事例は,著作権法違反事件に関するものが1件あり,上記条約を適用して同年中に身柄の引渡しを完了している。我が国が,同年中に同国に対して犯罪人の引渡しを正式に要請した事例はない(法務省刑事局の資料による。)。
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