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 昭和62年版 犯罪白書 第1編/第3章/第1節 

第3章 犯罪被害とその国家的救済

第1節 犯罪被害の実情

 I-63表は,昭和61年中における犯罪(業過には交通関係業過を含まない。)による被害者の被害状況を罪名・死傷者別に見たものである。犯罪による死者は,総数では1,769人であるが,これを罪名別に見ると,当然のことながら,殺人によるものが最も多く920人で総数の52.0%を占め,これに次ぐのが,業過によるもの458人(総数の25.9%),傷害によるもの185人(同10.5%)となっている。犯罪により重傷の身体被害を受けた者は,総数では2,306人であり,これを罪名別に見ると,傷害によるもの1,399人(総数の60.7%),殺人によるもの422人(同18.3%),業過によるもの340人(同14.7%)の順になっている。なお,61年中における交通事故による被害者数は,警察庁交通局の統計によると,死者9,317人,負傷者71万2,330人となっている。
 次に,検挙された事件の被疑者について,被害者との面識関係等の有無を罪名別に見たものがI-64表である。面識のない被疑者の犯行による被害者の割合が多い罪名のうち主要なものは,強制猥褻(86.3%),窃盗(83.8%),強盗(79.3%),強姦(70.0%)などである。殺人は,被疑者と被害者との人間関係の確執や葛藤に起因して犯されることが比較的多いと言えようが,それでも,面識のない被疑者の犯行による被害者の割合が11.4%にも上っている。