I-59表は，最近10年間における交通関係業過を除く刑法犯検挙人員を男女別に示したものである。これによれば，女子の検挙人員は，昭和52年の6万8,919人からおおむね増加傾向を示していたが，58年をピークとして減少に転じ，61年には7万7,856人となっている。もっとも，刑法犯検挙人員に占める女子の比率は，前年より上昇し，19.5%となっている。
　I-60表は，昭和61年における交通関係業過を除く女子刑法犯罪名別検挙人員を，52年及び60年と対比して示したものである。61年においても，検挙人員の首位を占めるのは窃盗の6万5,312人で，前年に比べ562人(0.9%)の減少となっているが，総数の83.9%を占め，依然としてその比率は高い。次いで，横領4,073人，傷害1,900人，詐欺1,466人などがこれに続いているが，その構成比は，いずれも低い。女子比が比較的高いものとしては，窃盗や殺人が挙げられるが，殺人の中でも嬰児殺は，61年の検挙人員が75人で，女子比は96.2%となっている。
　次に，昭和61年の交通関係業過を除く女子刑法犯検挙人員の年齢層別構成比を52年と比較したものが，I-61表である。女子刑法犯検挙人員に占める女子少年の比率は，52年では34.1%であったが，61年には45.3%になっている。また，女子成人においては，20歳代，30歳代の者の占める比率が低くなっているのに対し，50歳代及び60歳以上の者の占める比率は漸増の傾向にある。

I-59表　男女別刑法犯検挙人員(昭和52年〜61年)

　なお，昭和61年における女子刑法犯検挙人員中，罪名別の年齢層別構成比を見ると，検挙人員の大半を占める窃盗では，女子少年が45.3%を占めている。そのほか，女子少年の占める比率の高い罪名は，実数はそれほど多くはないが，恐喝(82.3%)，暴行(78.0%)，傷害(77.9%)などの粗暴な犯罪となっている。