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 昭和62年版 犯罪白書 第1編/第2章/第7節/2 

2 ゲリラ事犯

 最近5年間におけるゲリラ事犯の認知件数の推移は,I-54表のとおりである。昭和61年においては,54年以降最高の89件が発生した。そのうち,主要なゲリラ事件は次のとおりである。
 (1)天皇御在位60年記念式典・東京サミット反対闘争関係
 〇アメリカ大使館・皇居に対する火炎弾発射事件(3月25日,東京)
 〇赤坂御用地に対する金属弾発射事件(3月31日,東京)
 〇迎賓館に対する爆発物発射事件(5月4日,東京)
 (2)いわゆる成田闘争及び国鉄分割・民営化反対闘争関係
 〇運輸省航空局職員宅に対する放火事件(9月4日,神奈川,千葉)
 ○ 国鉄信号ケーブル等焼燬事件(9月24日,東京,神奈川,埼玉,千葉,茨城)
 ○国鉄本社秘書課長宅放火事件(11月12日,千葉)

I-54表 ゲリラ事犯認知件数(昭和57年〜61年)

 これらのうち,迎賓館に対する爆発物発射事件は,サミット参加国首脳の歓迎式典が行われている迎賓館に向けて,東京都新宿区矢来町のマンションの一室から,全長約35cm,最大径約5cmの迫撃砲弾様の爆発物5発が発射され,迎賓館を飛び越えて路上等に着弾したという事件であり,国鉄信号ケーブル等焼燬事件は,5都県下の22か所において,国鉄線に対する同時多発ゲリラとして敢行された事件であって,いずれも社会に大きな衝撃を与えた。また,運輸省航空局職員宅に対する放火事件及び国鉄本社秘書課長宅放火事件などは,過激派による個人に対するテロ攻撃拡大の事例として注目される。