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 昭和62年版 犯罪白書 第1編/第2章/第3節/1 

1 概  説

 I-33表は,最近3年間に検察庁が受理した公務員(法令により公務に従事する者とみなされる,いわゆる「みなす公務員」を除く。)による道交違反を除く犯罪を,罪名別に示したものである。昭和61年の受理人員総数は,前年より667人(3.1%)増加して2万1,999人となっている。これを罪名別に見ると,業過が1万7,928人(総数の81.5%,刑法犯の83.9%)と圧倒的に多く,61年の検察庁における道交違反を除く新規受理人員総数に占める業過の割合(総数の53.7%,刑法犯の61.8%)を大幅に上回っている。次いで多いのは職権濫用の1,555人であるが,そのほとんどは告訴・告発によるものである。なお,特別法犯の61年における受理人員は627人で,前年より226人(56.4%)と大幅な増加を示しているが,これは,従来,大規模な選挙が行われた年には,公職選挙法違反の受理人員が相当数に上ることから,61年7月に実施された衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙が主な原因となっているように思われる。

I-33表 公務員犯罪の罪名別検察庁新規受理人員(昭和59年〜61年)

 I-34表は,最近3年間における道交違反を除く公務員犯罪の検察庁における終局処理状況を示したものである。昭和61年における起訴人員総数は,前年より420人増加して1万3,101人となっているが,起訴率は0.5ポイント下降して60.5%となっている。罪名別に起訴率を見ると,収賄の73.7%が最も高く,業過の69.0%がこれに次ぎ,従来と同様の傾向を示している。職権濫用の起訴は例年極めてまれであり,61年においてはすべて不起訴とされている。これは,この種事件のほとんどが,警察,検察,裁判,矯正等の職員に対する告訴・告発事件であって,事実自体が犯罪とならないものや犯罪の嫌疑がないものなどであることによるものである。

I-34表 公務員犯罪の罪名別検察庁終局処理人員(昭和59年〜61年)