前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和61年版 犯罪白書 第4編/第5章/第2節/1 

1 検察審査会に対する不服申立て

 検察審査会は,「公訴権の実行に関し民意を反映せしめてその適正を図る」ための制度として昭和23年に設置されたものである。検察審査会は,59年12月末現在207か所あって全国の各地方裁判所及びその大部分の支部の所在地に置かれている。検察審査会は,11人の検察審査員(任期6月)をもって構成され,不起訴処分の当否を審査するが,検察審査員は,衆議院議員の選挙権者の中からくじで選定される。
 告訴・告発・請求をした者又は被害者は,検察官の不起訴処分に不服があるときは,検察審査会にその処分の当否の審査の申立てをすることができる。審査は,職権で行われることもある。

IV-65表 検察審査会事件受理・処理状況

IV-66表 起訴相当・不起訴不当事件の原不起訴理由別事後措置状況

 IV-65表は,最近5年間の検察審査会の事件の受理・処理状況を見たものである。昭和59年に起訴相当又は不起訴不当の議決のあった事件は57件であり,その既済事件中に占める割合は3.5%である。
 議決があった場合は,議決書が作成されて所轄の地方検察庁に送付される。起訴相当又は不起訴不当の議決があった場合,検事正(地方検察庁の長)は,これを参考にし,公訴を提起すべきものと思料するときは,起訴の手続をしなければならない。しかしながら,公訴の提起を必ずしも義務づけられるわけではない。
 IV-66表は,起訴相当又は不起訴不当の議決がなされた事件について,最近5年間に検察庁がとった事後措置を原不起訴理由別に見たものである。起訴される事件も少なくなく,概して原不起訴理由が嫌疑不十分であったものの起訴件数が多い。昭和59年に起訴となったのは8件で起訴率は11.8%であり,うち7件は,原不起訴理由が嫌疑不十分であったものである。