IV-9表は,昭和41年から59年までの間に,交通関係業過を除く刑法犯により身体に被害を受けた者の推移を死傷別に示したものであり,IV-7図は,これを図示したものである。
まず,被害者数について見ると,昭和59年では,死亡者が2,080人,負傷者が3万831人となっている。これを年次別の推移で見ると,死亡者,負傷者共に減少傾向にあり,死亡者では41年の3,661人に比べ59年では43.2%(1,581人)の減少,負傷者では41年の7万6,297人に比べ同様59.6%(4万5,466人)の減少となっている。ただし,59年の死亡者2,080人は,前年の1,921人に比べると8.3%の増加であり,この増加が一時的なものであるかどうか,今後の推移が注目されるところである。被害発生率についても,死亡者,負傷者共に低下傾向にあり,死亡者が41年の3.7から59年の1.7,負傷者が41年の77.0から59年の25.6となっている。次いで,死傷別被害者数に占める女子比について見ると,死亡者,負傷者共に上昇傾向にあるが,特に,例年,死亡者の女子比が負傷者の女子比を大きく上回っているのが注目される。
IV-7図 刑法犯の死傷者数の推移
IV-9表 刑法犯の死傷者数の推移
IV-10表は,死傷被害者数の推移を主要罪名別に見たものである。
死傷被害者数は,放火を除いて,いずれの罪名においても減少傾向にある。このうち,強姦及び強制猥褻による被害の減少率が最も高く,昭和41年の2,819人から59年の853人へと69.7%(1,966人)の減少となっており,以下,傷害の60.5%減,強盗の38.3%減,殺人の15.8%減の順となっている。なお,放火による被害は,実数こそ少ないものの,11人から148人へと13.5倍もの増加を示している。
IV-10表 主要罪名別の死傷被害者数の推移
IV-11表 財産犯等による財産被害額の推移