犯罪が時代とともに変遷するように，犯罪による被害も時代とともに変遷する。本章では，犯罪被害の推移に焦点をあて，刑法犯について，警察統計に基づき，第1節では，主要刑法犯の男女別被害者数の推移等を見た上，第2節では，犯罪による被害を生命・身体の被害，財産上の被害，交通事故の被害の三つに分けて見ていくこととする。
　なお，各年次において，それぞれ人口10万人当たりの被害者数(以下，本章においては「被害発生率」という。)を算出し，適宜年次間比較を行ったが，その際使用した警察統計資料は，資料入手の制約から，第1節では，昭和47年から59年までの13年間のものをとり，第2節では41年から59年までの19年間のものをとることとした。また，統計上の制約から，一つの事件で数人の被害者がいる場合は，第1節では主たる被害者1人をとり，第2節においては，原則として認知された被害者又は被害のすべてをとっている。