9 交通犯罪受刑者の処遇 II-40表は,交通犯罪新受刑者について,刑名,刑期,罪名別に見たものである。60年では,前年に比べて,懲役受刑者は110人,禁錮受刑者は42人の減少となっており,交通犯罪によって入所した受刑者の中で,懲役受刑者の占める比率は90.1%となっている。 交通犯罪受刑者については,一定の基準により特定施設に集めて開放的処遇を実施している(禁錮受刑者については,昭和36年から実施していたが,交通犯罪による懲役受刑者の増加に伴い,一部の施設では51年から懲役受刑者についても行われるようになった。)。この収容基準は,開放的処遇が適当と判定された成人の受刑者で,[1]交通事犯以外の犯罪による懲役刑を併有しないこと,[2]交通事犯以外の犯罪による受刑歴がないこと,[3]刑期がおおむね3月以上であること,[4]心身に著しい障害がないことの諸条件を満たすものとされている。 ここでの開放的処遇には,生活指導,職業訓練,職業指導等を活発に行うことにその特色がある。生活指導については,遵法精神,人命尊重及び責任観念の養成に重点がおかれている。職業訓練の科目としては,自動車運転科・整備科のほかに,溶接科,ボイラー運転科,電気工事科,情報処理技術科,造園及び園芸科などがある。また,職業指導については,各人の自動車運転に対する適性,将来の生活設計などを考慮して,職業技能の開発が行われており,自動車の運転適性がないと認められる者及び自動車運転の職業から転職することを希望する者に対しては,転職指導を実施している。
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