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 昭和61年版 犯罪白書 第1編/第3章/第2節 

第2節 犯罪者の逃亡の国際化

 日本国内で犯罪を犯し国外に逃亡している被疑者は,昭和60年末現在で219人であり,前年に比べ32人(17.1%)増加している。この内訳は,刑法犯被疑者117人,特別法犯被疑者102人である。特別法犯被疑者では,薬物事犯(覚せい剤,麻薬及び大麻の各取締法違反)が80人で特別法犯の78.4%,全体の36.5%を占めていることが注目される。また,国外逃亡被疑者を国籍別に見ると,日本が72人で32.9%を占め,次いで韓国が42人(19.2%),フィリピンが27人(12.3%)などとなっており,日本を含めたアジアの国で198人と,全体の90,4%を占めている(警察庁刑事局の資料による。)。
 我が国が犯罪人引渡条約を締結している相手国は,アメリカ合衆国のみであるが,昭和60年中に同国から犯罪人の身柄引渡しの正式請求を受けた事例は,覚せい剤取締法違反1件2人があり,上記条約を適用し,同年中に身柄の引渡しを完了している。また,我が国が同国に対して,同年中に犯罪人の引渡しを正式に要請した事例はない(法務省刑事局の資料による。)。