第1節 警察における少年補導員等 少年の非行防止は,警察等の行政機関による活動のみならず,地域社会にお(する地域ぐるみの問題として,地域住民の協力を得なければ効果を上げることができない。そこで,警察では,警察本部長又は警察署長が地域の民間人を少年補導員に委嘱し,ボランティアとしての協力を得ている。警察庁においては,昭和42年に「少年補導員制度運営要領」を定め,この制度の普及に努めているが,更に55年には「全国少年補導員協議会」が発足し,全国的な規模において地域住民との連携が深められている。 少年補導員の活動内容は,各都道府県によって異なるが,前述の「少年補導員制度運営要領」によれば,要保護少年の発見・保護,非行少年等の発見・保護,継続補導,有害環境の浄化,その他少年警察活動に対する協力などとされている。 昭和54年以降における少年補導員数は逐年増加傾向にあり,58年は54年に比べて46.6%増加して5万4,252人に達している。58年の少年補導員数について,男女別,年齢別及び職業別の構成比を見ると,男女別では男子76.0%,女子24.0%,年齢別では40歳代35.6%,50歳代30.6%,60歳代17.1%,30歳代11.7%,20歳代5.1%,職業別では自営業23.8%,会社員14.8%,農漁業10.9%,公務員6.5%,教師3.5%,宗教家2.2%,その他38.3%となっている。一方,58年に少年補導員によって街頭補導を受けた少年数は,13万8,562人であI),その内訳は,不良行為少年96.5%,犯罪少年1.8%,触法少年1.2%,虞犯少年0.5%となっている(警察庁保安部の資料による。)。 なお,少年補導員と類似したものとして少年補導委員制度があるが,これは,主として市町村が設置している少年補導センター(昭和59年3月末現在642か所)所属のボランティア活動家であり,その数は59年3月末現在では全国で約6万7,000人に達し,58年4月1日から59年3月末までに少年補導委員によって補導された少年は,約46万人に及んでいる(総務庁の資料による。)。 ところで,警察における市民参加の形態としては,上記の少年補導員によるもののほかにも数多くのものがあり,例えば,防犯警察部1コでの協力団体として防犯協会,金融機関防犯協力会,アパート防犯協力会及び自転車業防犯協力会,ボランティアとして防犯指導隊及び婦人防犯協力員,また,少年警察部門での協力団体として母の会及び環境浄化推進埠議会,ボランティアとして少年警察協助員,さらに,交通警察部門での協カ団体として交通安全協会及び安全運転管理者協議会,ボランティアとして交通指導員,交通安全母の会及び交通少年団などがあげられる。
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