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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第3章/第4節/2 

2 裁判における処遇

 IV-58表は,業過及び道路交通法違反に対する第一審判決の科刑状況を見たものである。
 まず,懲役刑と禁錮刑の割合を見ると,業過致死事件(以下「致死事件」という。)では禁錮刑が,同致傷事件(以下「致傷事件」という。)では懲役刑が選ばれることが多く,道路交通法違反事件ではほとんどの場合懲役刑が適用されていることが分かる。

IV-58表 業過及び道路交通法違反に対する第一審判決の科刑状況(昭和58年)

 次に刑期を見ると,致死事件では1年以上2年未満が,致傷事件では6月以上1年未満が,また,道路交通法違反事件では6月未満がそれぞれ最も多くなっている。
 執行猶予率は,懲役刑では,致傷事件で最も高く,以下,道路交通法違反事件,致死事件の順となっており,禁錮刑では,致死事件,致傷事件共に90%前後と高くなっている。また,刑期と執行猶予率との関係を,該当事例のごく少ない刑期を除いて見ると,懲役刑,禁錮刑共に,致死事件では該当事例の多い刑期の周辺で,致傷事件では刑期が長いほど,それぞれ執行猶予率が比較的高い傾向が見られる。
 なお,執行猶予になった者のうち,保護観察に付された者の比率は,懲役刑では,致死,致傷,道路交通法違反の各事件共に10%台で大差はなく,禁錮刑では,致死,致傷事件共に5%前後と低い比率となっている。