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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第4章/第1節 

第1節 犯罪被害の実情

 I-68表は,昭和59年中の罪名・死傷別の犯罪(業過には交通関係業過を含まない。)による被害状況を見たものである。犯罪による死者は,総数では2,080人で,罪名別内訳を見ると,当然のことながら殺人によるものが最も多く998人と総数の48.0%を占め,これに次ぐのが業過と過失致死傷を合わせた過失犯による686人で,総数の33.0%となっているのが注目される。重傷者は,総数では2,531人で,罪名別内訳は傷害が1,519人,殺人が471人,業過と過失致死傷を合わせた過失犯が377人の順となっている。なお,59年中の交通事故による被害者数は,警察庁交通局の統計によると,死者9,262人,負傷者64万4,321人となっている。
 次に,罪名別に被害者と被疑者の面識関係を見たものがI-69表である。面識のない被疑者の犯行による被害者は,このような事態がむしろ通常といえる強盗や強姦ではそれぞれ1,309人(被害者総数の77.4%),1,109人(同64.8%)と相当数を示している。殺人は,被疑者と被害者の間の人間関係の確執や葛藤に起因することが比較的多いにもかかわらず,面識のない被疑者の犯行による被害者が172人(同11.2%)を数えている。これらの一部については,被害者側に犯行を誘発する何らかの要因があった場合もあろうことを考慮にいれても,無視できないところである。

I-68表 罪名・死傷別犯罪被害者数(昭和59年)

I-69表 罪名別被害者と被疑者との面識等別検挙件数(昭和59年)