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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第3章/第3節/2 

2 女子受刑者の再犯状況

 刑務所に収容された女子受刑者の前科者率は,I-63表のとおり罪名によって異なるものの,かなり高い比率を示していることが分かる。
 そこで,女子受刑者の出所後の再犯状況を,法務総合研究所の調査結果から見ることとする。
 調査の対象及び方法は,昭和57年7月1日現在,全国の女子刑務所に収容中の女子受刑者1,468人について,60年2月20日現在までに出所した1,361人の再犯状況を調査したものである。なお,ここで言う「再犯」とは,刑務所出所後,何らかの犯罪により逮捕された者とした。
 出所後の再犯者は354人で,出所者総数の26.0%となっている。再犯者354人の再犯罪名を見ると,覚せい剤取締法違反が183人で最も多く,次いで,窃盗119人,詐欺18人,売春防止法違反11人などの順となり,覚せい剤取締法違反の多さが目立つ。対象者の入所時罪名と再犯罪名との関連を見ると,覚せい剤取締法違反及び窃盗で入所した者の再犯罪名は同一罪名の場合が多く,それぞれ83.7%,82.3%となっている。
 出所後1年以上を経過した者について,再犯までの期間を見ると,3か月以内67人,6か月以内60人,9か月以内59人,1年以内53人と期間が長くなるにつれて再犯者の数は減少しており,再犯者は,出所後比較的短期間に再犯していることが分かる。