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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節 

第5節 公害犯罪

 I-39表は,検察庁の最近3年間における公害犯罪の新規受理人員及び昭和59年の終局処理人員を罪名別に示したものである。59年の新規受理人員総数は,前年より308人(5.7%)増加して5,708人となっている。これを罪名別に見ると,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)違反が3,682人(64.5%)で最も多く,以下,海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(以下「海洋汚染防止法」 という。)違反が1,091人(19.1%),水質汚濁防止法違反が560人(9.8%)となっており,この三者で全体の93.4%を占めている。なお,この三者共にここ3年ほど,わずかずつながら毎年増加してきており,今後の成行きが注目される。
 次に,昭和59年の終局処理人員について見ると,総数では5,481人で前年より298人増加している。そのうち,起訴人員総数は,前年より193人増加して3,919人で,起訴率は71.5%である。なお,公判請求人員は53人で,公判請求の比率は1.4%(前年は0.9%)となっている。また,罪名別の起訴人員を見ると,廃棄物処理法違反が2,595人(起訴率は72.3%)で最も多く,以下,海洋汚染防止法違反の685人(同66.1%),水質汚濁防止法違反の411人(同77.8%)などとなっている。
 さらに,これら三つの主要な公害犯罪について,検察統計年報により,その法人・個人別終局処理人員の比率を見ると,廃棄物処理法違反では,法人が11.8%に対し個人が88.2%を占め,海洋汚染防止法違反では,法人の16.9%に対して個人が83.1%,また,水質汚濁防止法違反では,法人の34.9%に対して個人が65.1%となっており,水質汚濁防止法違反は,他の二者に比べ,企業犯罪として行われる事案の多いことが窺える。

I-39表 公害犯罪の罪名別検察庁新規受理・終局処理人員(昭和57年〜59年)