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 昭和59年版 犯罪白書 第2編/第3章/第5節/2 

2 犯罪者の逃亡の国際化

 国外に逃亡している被疑者は,昭和58年12月末日現在で,159人に上っている(警察庁刑事局の資料による。)。
 我が国が犯罪人引渡条約を締結している相手国はアメリカのみであるが,同国に対し正式に要請して,身柄の引渡しを受けた事例としては,昭和50年,52年に殺人犯各1件,54年に殺人未遂犯1件,57年に業務上横領犯1件がある。また,我が国が同国から正式請求を受け,同条約を適用して逃亡犯罪人を引き渡した事例は,56年に殺人犯1件がある。
 なお,これ以外の外国逃亡犯罪人の身柄確保の状況を見ると,昭和58年には,捜査員を逃亡先国へ派遣して身柄を確保した事例が2件,逃亡先国における国外退去強制処分その他の理由により我が国に帰国した際に逮捕した事例が9件あり,これらのうちには,けん銃を使用して知人の女性から所持金2,250万円などを強取して,国外へ逃亡した暴力団幹部らを,警察においてその帰国の情報を探知し,帰国したところを逮捕した事例もある(警察庁刑事局の資料による。)。